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Lounge Chevrolet

カマロの歴史やパフォーマンスの秘密など、カマロが愛され続ける真実を紐解いたコラムになります。

Vol.27 – あのドライブウェーを

 ふもとの料金所を出て、料金所のおじさんの視線を意識しながら最初はゆっくりとスタートするが、本線に入ってアクセルペダルを8割ほど踏み込み短いほぼストレートの上り坂を走り出す。カマロの太いタイヤがしっかりと路面をつかみ、足回りがタイヤをきちんとコントロールしてくれるのでハンドルに手を添えているだけでカマロはセンターラインに沿って上り坂を駆け上る。その先の左コーナーはさほど深くない事を知っているので、アクセルを気持ちだけ戻してハンドルを軽く切りコーナーのインに沿って車を走らせる。車速が上がってくると、本当はRがさほどきつくない次のコーナーに入るときに緊張するが、ハンドルを切るとカマロの長いノーズがスッとコーナーの内側へ向いてくれる。そこでアクセルを踏 み込 みタイヤにパワーを与え、テールがほんの少し外へ行きたがる感じをヒップポイントで感じながらもグリップを保ったままきれいにコーナーを抜ける。

 ALL NEW シボレー カマロのサスペンションは、カタログの文字で見る限り先代の第5世代カマロと基本的には変わらず、フロントにマクファーソン式、リアにマルチリンク式のサスペンションが採用されている。しかし、旧と新のサスペンションを見比べると、前後サスペンション共に各部品に互換性は無く、正直なところ「基本的には変わらず」と書くことさえためらうほどの変化だ。

 フロントサスペンションでは、コントロールアーム類の形状見直しが行われたがそれ以上に大きな変更が、サスペンションが組み付けられているフロントのクレードル(サブフレーム)で、ALL NEW シボレーカマロではアルミ製のクレードルが採用され、それに伴ってリンケージの支点位置が変更になっている。フロント以上に大きく変化したのがリアのサスペンションで、同じマルチリンクとは言いながら、第5世代の比較的コンパクトに床下に収められていたリアのサスペンションに採用されていた一体構造のショックアブソーバとスプリングは、それぞれを横に並べてロワアームに組み付けるタイプへと変更され、ショックアブソーバのストロークが大きくされた。さらにリアサスペンションとデフが組みつけられたクレードルの車体への取り付けポイントが大きく変更されて広い間隔で車体と結合されるようになったので、ブッシュ自体は十分振動を遮断する柔らかさを持ちながらもしっかりとリアのドライブユニットをホールド してくれる。

 これらの変更が、開発エンジニアのArron Link氏が語ってくれた、「コーナーに入ってそれを抜ける素早さ、そこからの立ち上がり、すべてのシーンで違いが分かるよ」の言葉の裏付けだったのだ。

新井 輝(あらいてる)
モータージャーナリスト。自動車業界に40年以上携わり、自動車専門誌に長年、技術的な記事を執筆。

Vol.28 – フロリダに聖地あり。

 北米とカナダに自動車をテーマとしたミュージアムが、いったいいくつぐらいあると思いますか? 1998年に北米で刊行されたペーパーバッグ版ガイドブックの巻末リストを数えたところ、何と621館ありました。そんな中でもChevrolet カマロ ファンなら見逃せないのが、フロリダのマッスルカーシティ(MUSCLE CAR CITY)でしょう。

 なにしろGM製マッスルカーのみ、220台余を集め、Chevrolet カマロは20台をコレクション。その内訳は1967 Z-28、1967 RS SS 396、1968 RS SS 396 CONVERTIBLE、1968 RS Z-28、1968 RS SS 396、1969 RS SS 396 CONVERTIBLE、1969 COPO(写真上)、1969 RS Z-28、1969 Z-28、1969 SS 396、1969 RS Z-28、1969 RS SS 396、1970 RS Z-28、1970 RS SS 396、1971 SS 396、1972 Z-28、1973 Z-28、1979 Z-28、2002 GMMG with a C5R Corvette Race Motor(写真 下)というから凄い! のひと言です。

 これらは、不動産開発で成功したリック・トレワージー(Rick Treworgy)さんが50年をかけて蒐集したもので、所有台数が100台オーバーとなった時点で公開することに。オーランドからクルマで2時間弱のフロリダ州プンタ ゴーダにあった900㎡強のフロアを携えた旧ウォルマートを改装し、2009年3月に開館させたミュージアムです。この10月21日には、館のパーキングスペースでNSRA(ナショナル・ストリートロッド協会)Appreciation Day & Muscle Car City Monthly Car Showが開催される予定で、全米からGMファン、Chevroletファン、そしてCamaro好きも訪れるとか。

 さて先に紹介したChevrolet カマロのコレクション、19台分だったことにお気づきでしょうか? 実はつい先日、ホワイトボディの2018 Z-L1がコレクションに加わったばかり、だそうです。ちなみにリックさんも気に入っている最もホットなカマロは〝1969 Chevrolet CAMARO COPO〟とのこと。COPOは通常オプションの上位にあった特別なオーダーオプション仕様を指し、425馬力、6.99ℓのL72エンジンを搭載。にもかかわらず、外装はSS仕様でもRS仕様でもない、スタンダード仕様というのもマニア心をくすぐりますね。
 New Chevrolet カマロの日本発売まで、いよいよ1カ月を切りました。その奥深き魅力を堪能するためにも米東海岸へお出かけの際はマッスルカーシティまで足を伸ばしてみては、いかがでしょうか?

2002 GMMG with a C5R Corvette Race Motor。GMMG製6.99ℓエンジンを搭載したスペシャル。43台のみ生産された2002モデルのなかの貴重な1台

Muscle Car City
3811 Tamiami Trail, Punta Gorda FL 33950 USA
Tel. +1-941.575.5959
www.musclecarcity.net

瀧 昌史(たきまさし)
カー エッセイスト。クルマやモーターサイクル、旅をテーマに執筆。 日本旅行作家協会会員。1961年静岡市生まれ。

旅日記Blog「あ ば ろ ん」 http://takimasashi.hatenablog.com

Vol.29 – 走るためのブレーキング

 朝から小雨が降っていたのだが、日本の路上でカマロのパワーを味わいたくてALL NEW カマロ SSを借り出した。背が高くなった軽自動車に挟まれて、車高の低いクーペボディーに乗って街中を走ると、いやでも周囲の視線を感じてしまう。そのまま首都高速へ入って、一路郊外へ延びる高速を目指す。高速の料金所で一旦スピードを落とし、セレクターレバーの後ろのドライブモードスイッチをSportに切り替える。本心はその下のTrack モードを選びたいところだが、公道であり大人の自制心が指先を止めた。
 計器盤の中、速度計の左側のインジケーターに「S」の文字が表示されたのを確認して、アクセルを深く踏み込む。一瞬タイヤが鳴き、車が勢いよく加速を始める。料金所の先の濡れた路面のつなぎ目を斜めに超える。超えた一瞬、車のテールが暴れそうになるのを感じたが、カマロは神の手に守られたようにそれ以上には姿勢を乱すこともなく加速を続け、短時間で法定速度に達してしまった。

 この短時間にカマロの中ではエンジンが懸命に働いていたのはもちろんだが、それ以上に頭を使って働いていたのがエンジンルーム内に収められている「エレクトロニック・ブレーキ・コントロールモジュール」だ。10数年前であれば、このモジュールはABSコントロールモジュールと呼ばれ、強いブレーキング時にタイヤがロックして路面との接地力を失うのを防止するだけだった。しかし最新の技術を備えた今のモジュールは、名前こそ「ブレーキ・コントロール」と名付けられているが、アクセルを踏んで加速しているときでも4輪それぞれの回転数を常にモニタリングしている。
 たとえば、アクセルを大きく踏み後輪が空転すると、それを検知したこのモジュールは出力を下げるようにエンジン・コンピューターに指令を出す。さらに、ハンドル操作の情報と、走行中の車体の動き(向き)を感知するセンサーからの情報などで車の姿勢を計算し、車の挙動がおかしい(例えばスピンしそうだとか)とモジュールが判断すると、ブレーキ・コントロールモジュールは瞬時に車を安定させるために必要なブレーキの強さと、ブレーキングする車輪を算出してその車輪にブレーキをかけて車の走行を安定させてくれる。

 読むだけでも時間がかかる、これらの作業をカマロのエレクトロニック・ブレーキ・コントロールモジュールが瞬時に行って、車のパワーをより安全に満喫できるようにしてくれている。最新テクノロジーに感謝である。

新井 輝(あらいてる)
モータージャーナリスト。自動車業界に40年以上携わり、自動車専門誌に長年、技術的な記事を執筆。

Vol.30 – カマロ、インディの顔になる

 モナコGP、インディ500、そしてル・マン24時間レースは、世界三大レースとされています。この三大レース、現在はどれもシリーズ戦となっていて今年は、モナコGPがF1世界選手権全20戦のうちの第6戦、インディ500もインディカー・シリーズ全17戦のうちの第6戦、そしてル・マン24時間はFIA 世界耐久選手権全9戦のうちの第3戦でした。

 この三大レースのなか最も多くの観客を集めるのがインディ500で、会場となるインディアナポリス モーター スピードウェイには約40万人が訪れます。コースはオーバル(楕円形)で1周2.5マイル(4.023km)を200周、つまり500マイル(804.672km)で競われるため〝インディ500〟。そして今年は101年目にして初めて日本人ドライバー、佐藤琢磨選手が優勝したことでも大きな話題になりました。

 実は、このインディ500とChevrolet カマロには、浅からぬ関係が。過去10台のカマロが公式ペースカーをつとめているのです。その縁あって、今年5月28日、優勝した佐藤選手を乗せてパレードランをしたのも2018 カマロ コンバーチブルでした。ホンダドライバーの佐藤選手は、2位となったシボレードライバー、H.カストロネベス選手と最終ラップ、ゴールライン直前まで激しくバトル。ゴールライン通過のタイム差は僅か0.2011秒でした。そのバトル直後に、佐藤選手は宿敵Chevrolet カマロに乗り込み祝福する観客に手を振ったのです。その笑顔はとても印象的でした。

 上の写真はインディ500の100周年と、カマロ生誕50周年を記念して昨年、歴代のカマロ ペースカーを一堂に集めた記念ショットです。左から、1967 Camaro RS/SS、1969 Camaro RS/SS、1982 Camaro Z28、1993 Camaro Z28、2010 Camaro SS (2009 Indianapolis 500)、2010 Camaro SS (2010 Indianapolis 500)、2011 Camaro SS、2014 Camaro Z/28、そして2017 Camaro SS 50th Anniversary Edition。カマロはデビューと同時にインディ500のペースカーに。果たして1967年のインディ500を制したのはアメリカ人ドライバー、A.J.フォイトでレース後、彼にその記念すべきペースカーを贈呈することに。ところがフォイトは、ペースカーに空調装置がないことを理由にこれを断ったという、豪快な逸話が残っています。

 さて今年のインディカー・シリーズは、といえば9月17日、カリフォルニア州ソノマでの最終ラウンドをシボレーの1-2-3で終え、年間チャンピオンの栄冠はシボレードライバー、J.ニューガーデン選手の頭上に輝きました。
 三大レースのうちモナコGP、インディ500は奇しくも同日開催。今年、F1で活躍中のスペイン人ドライバー、フェルナンド アロンソ選手はF1 モナコGPを欠場しインディ500にエントリーしました。……三大レースの頂点はもはや、カマロと関係深いインディ500なのかもしれません。

瀧 昌史(たきまさし)
カー エッセイスト。クルマやモーターサイクル、旅をテーマに執筆。 日本旅行作家協会会員。1961年静岡市生まれ。

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